相模原には『でいらぼっち』の話が多くあります。 鹿沼をこえて上の原に出ると、南北に長い窪地があります。一の窪、二の窪などと呼ばれていますが、一名「ふんどし窪」「かまとぎ窪」とも呼ばれています。 これがまたでいらぼっちに関係しているのです。
でいらぼっちが富士山を背負ってこの原にきたとき、大山に腰をかけてひと休みしたお話は前にもしましたが、さて立とうとして、手にした藤づるがぽっきりと折れてしまったのです。 でいらぼっちは何故かあわててしまって、この原中をかけまわって藤づるを探したのです。その時あまりにあわてたので、六尺ふんどしの端が解けて、引きずっているのに気がつきませんでした。そのふんどしを引きずった跡が、この「ふんどし窪」だといわれているのです。 また藤づるを切るために持っていた鎌をといだところが「かまとぎ窪」と言い伝えられています。それにしてもでいらぼっちが何故あんなにあわてたのか、いまだに謎です。
座間美都治
相模原民話伝説集より